「絶世の美女」のメンタリティは
「中小企業の女社長」
「中小企業の女社長」
前69 プトレマイオス朝のファラオの子として生まれる
前51 父の死去、弟のプトレマイオス13世と結婚し、共同の王となる
プトレマイオス13世と対立
前48 プトレマイオス13世派のクーデター、アレクサンドリアを追われる
カエサルの愛人となる→カエサルはプトレマイオス13世を攻撃
前44 カエサルの死
前42 アントニウスと同盟
前31 アクティウムの海戦でオクタウィアヌスに敗北
前30 自殺する
◇今回は世界三大美女として知られるクレオパトラです。世界三大美女は「クレオパトラ・楊貴妃・小野小町」と言われますが、こう言っているのはおそらく日本だけでしょう。フランス人やアメリカ人が小野小町を知っているとは思えないですし。しかし、クレオパトラはまさしく「美人」だと、全世界の人が知っていることでしょう。本当に美人だったかは、「そうでもない」という歴史家もいて、肖像画も残されていないことから定かではありませんが、頭がよく、会話が巧みで、優雅な雰囲気を持つ、なんというか男にとっては「好きになってしまう」女性であったようです。
◇彼女が生まれたのはエジプトのプトレマイオス朝。かのアレクサンドリア大王の後継国家の一つで、首都のアレクサンドリアは世界の中心と言われるまでに繁栄をしていたものでした。しかし、クレオパトラにとってはそれは200年も前の話で、今は拡大するローマに対して、どのように国家を存続させていかねばならないかを考えなければならない、まさに「中小企業の社長」のようなメンタリティなのです。エジプトお決まりの兄弟婚で結婚した共同統治者のプトレマイオス13世はローマとの敵対に、そしてクレオパトラはローマとの同盟に活路を求めたのです。そうした意見の違いから、プトレマイオス13世派のクーデターにより、クレオパトラは一時アレクサンドリアを追われます。
◇ローマとの同盟を図るクレオパトラが接近したのはカエサルです。ライバルのポンペイウスを追い、アレクサンドリアに入ってきたカエサルに対して、クレオパトラは接近したいのですが、アレクサンドリアはプトレマイオス13世派の町になっていて、普通の方法では容易に接近することができません。そこで一計を案じたクレオパトラは、自らを絨毯にくるませ、贈り物としてカエサルに届けさせ、カエサルが絨毯の包みをほどくと中からクレオパトラが…という方法で接近したといわれています。クレオパトラはカエサルの愛人となり、そのままプトレマイオス13世を攻撃してもらい、クレオパトラはエジプトの統治者として返り咲きます。
◇強力なカエサルの後ろ盾でなんとか「プトレマイオス朝」の屋号を守ったクレオパトラですが、カエサルが暗殺されると再び後ろ盾を求めます。その後ろ盾がアントニウスです。ローマの三頭政治の一角であったアントニウスですが、クレオパトラの魅力にすっかりやられてしまってエジプトに入りびたりになり、ローマを見捨てたかのようにふるまったそうです。ローマの人心はカエサルの後継者、オクタウィアヌスに集中します。アントニウスはクレオパトラと共同軍を仕立ててオクタウィアヌスとアクティウムの海戦で戦いますが、敗北します。アントニウスは自殺、クレオパトラもオクタウィアヌスに屈することを拒み服毒自殺(一説にはコブラに自らをかませて自殺)をしました。オクタウィアヌスはエジプトをローマに編入、皇帝直轄地とし、クレオパトラがなんとか守ろうとした「プトレマイオス朝」の屋号はここに消えてしまうのでした。